苦悶するソニーのConnectプロジェクト

6月 7th, 2006
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CNET Japanに掲載されているソニーのConnectプロジェクト開発物語が面白い。ウォークマンで使われているConnect Playerの出来に関しては否定的な声が多いが、その理由の一端が描かれている。アップルでQuickTimeを開発していたPeter Hoddie氏が主導していたそうだが、優秀なエンジニアが参加しているからといってプロジェクトがうまくいくとは限らないのだな。
Peter Hoddie氏が率いるKinomaは、先日取り上げたSony Readerにも関わっているそうで、こっちも難渋しそうな気配。
門外漢からすると、音楽プレイヤーソフトやドキュメントリーダーって、ユーザーインターフェイスの設計はともかく、それほど開発の難易度は高くなさそうな気がするのだけど、やはりDRMが絡んでくるからややこしくなるのだろうか。

Marlin DRM対応端末はまだ出ていなかった

6月 5th, 2006
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新DRM規格「Marlin」の最初の対応機器が「PS3」になる可能性があるという、Tech-On!の記事。Marlinってどこかで聞いたようなと思っていたら、CESで展示されていた「Sony Reader」で採用されていたのだった。というか、まだSony Readerは発売されていなかったのか。
CESではMarlinについてほとんど説明されていなかったが、これあれやの関連記事を見るとかなり大がかりな規格の模様。ソニーのDRMは、OpenMGではなく、Marlinにシフトしていくということか? ウォークマンでのAAC採用に見られるように、ソニーも最近は自社規格に固執しなくなってきているけど、これもその一環だろうか。

オープンコースウェアを積極的に進める東工大

5月 23rd, 2006
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東工大がオープンコースウェアを積極的に推進しているというITproのニュース

東工大では今年4月にサイトをリニューアルし、アクセス数によるランキングと最新アップデートの順番で全講義を確認する機能を付けたことで参加教員にも張り合いができた。アンケートを受け付ける機能を備えているため、教員は閲覧者から講義についての意見を聞くことができる。

他の大学ではまだまだこういう当たり前の仕組みが用意されていなかったりする。個人、組織を問わず、自分のやっていることが他人の役に立っている、少なくとも関心を持ってもらっているという実感が得られないとモティベーションは上がらないんだよなあ(話はちょっとずれるが、このことは最近のさまざまな事件の背景にあるものだと思う)。特に、オープンコースウェアはすぐに利益に結びつく活動ではないし。

アップル本の決定版『アップル・コンフィデンシャル2.5J』本日発売

4月 27th, 2006
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アップル・コンフィデンシャル2.5J(上)―世界一スタイリッシュでクレージーなコンピュータ企業の30年企業30年周期説なんてものがあったりするが、アップルほどドラマに満ちた30年を経た企業はほかに類を見ない。1976年4月に創設されたアップル(法人化されたのは1977年)は30年の間に、アップルII、Macintoshという革命的なパソコンを送り出し、DTPやグラフィックの市場を作り出し、創業者をほっぽり出し、ダメダメになって、そうしたら創業者が復帰して息を吹き返し、iPodを大ヒットさせ……etc。
このドラマチックなアップルの30年を余すところなく描いたのが、オーウェン・リンツメイヤー氏と林信行氏による『アップル・コンフィデンシャル2.5J』(上)(アスペクト刊、各巻税込2100円)だ。リンツメイヤー氏の原著『Apple Confidential 2.0』に、ITジャーナリスト林信行氏の書き下ろし原稿を大幅追加(全体の1/3が日本版オリジナル!)。iPodやMac OS X誕生の物語、日の目を見なかった最先端技術、流通や販売戦略の大改革など、長年のMacファンにも知られていないエピソードがたっぷり詰まっている。
『アップル・コンフィデンシャル2.5J』(上)、いよいよ本日発売です。

本格的に動き出した? iVDR規格

4月 26th, 2006
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3年前から気になっている、リムーバブルハードディスクiVDRについての説明会が開催された(以前の記事1記事2記事3記事4記事5)。
AV WatchMYCOM PC WEBなどに記事が掲載されているが、ポイントはiVDR用コンテンツ保護の仕組み「SAFIA」がD-pa(地上デジタル放送推進協会)やBPA(BSデジタル放送推進協会)の認証を受けたこと。そして、(リムーバブルではない)内蔵向け規格「iVDR-Secure Built-in」が策定されたことだ。前者によって、デジタル放送の録画機器を発売できる態勢が「ようやく」整ったことになる。また、後者によって、後から内蔵HDD容量を増やせるハードディスクレコーダーなどが登場するかもしれない。
iVDR_Blu-ray01_small.jpg3年前にiVDRの規格が発表された時には、HD映像(ハイビジョン)録画の本命になるかもと思ったが、Blu-rayのレコーダーが先に出てしまうと、リムーバブルHDDは一般消費者にほとんど注目されずに終わるかもしれない。シャープがBlu-ray+iVDRのハイブリッドレコーダーを参考出品していたが(写真)、2つの大容量メディアを使い分けるというやり方は浸透するかなあ(もちろん、個人的にはものすごく気になる製品である)。
現在、2.5インチHDDの価格は、80GBで1万円前後で割高感がある。これに対して、光学系メディアは数が出ればすぐ安くなる。HDDには読み書きが自由・高速というメリットがあるが、これをどうアピールできるか。意外と、個人がパソコンで編集したHD映像の保存メディアとして便利かもしれないという気もするが。リムーバブルHDDを使ったレンタルビデオの構想も、ネット上での動画配信やCATVのビデオオンデマンドといった競合がどんどんでてきているし、先行きに不透明感あり。
あと、気になったのは、iVDR説明会の様子。デモ機の近くにいた説明員の方があまりiVDRについて詳しくないようだった。iVDRコンソーシアム参加企業の本気度はどんなもんなんだろう。技術的には(Blu-rayなどに比べて)枯れているものだし、メーカーがその気になったら完成度の高い録画機器がすぐ出そうで期待しているのだけど。

Web2.0てんこ盛りのeduCommons

4月 23rd, 2006
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京都大学で開催されたオープンコースウェア(OCW)の国際会議において、ユタ州立大学のDavid Wiley教授がeduCommonsというOCW向けのマネジメントシステムを紹介した。eduCommonsでは、大学の教員などが少ない手間で講義をOCWとして公開できるようにするためのシステム。今月公開される予定のeduCommons2.0では、ソーシャルブックマークのdel.icio.usとの連携、気になる講義についてのWikiを作成する機能、OCW間にまたがる検索など、「Web2.0」バリバリな機能が満載。ちなみに、Python、Zope、Ploneを使って構築されているとのこと。
Wiley教授は、オンラインコミュニティ形成についての専門家でもある。ちょっとお話しさせていただいたのだが、OCWがテーマの成功した学外オンラインコミュニティはまだないという。会話の中で彼が重要だといっていたキーワードが、「self-organizing」(自己組織化)。eduCommonsのWeb2.0機能はまさにself-organizingなコミュニティ形成を目指したものなのだろう。もちろん、ツールだけでコミュニティが簡単にできるわけではないけど。彼が語っていた成功するコミュニティの条件などについては、また別の記事で。
日本でもOCWを公開している大学は増えつつあるけど、実はそれぞれのコース自体はとてもクローズドだったりする。閲覧・学習した側からのフィードバックを個々のコースに直接は返せないし、ディスカッショングループもない。直接コメントやトラックバックなどを受けるようにすると「荒らし」が起こる可能性もあり、大学側はそれを懸念しているとのこと。ただ、何らかのデータ連係の仕組みがあれば、「人気OCWランキング」のような勝手サイトも立ち上がってもう少し盛り上がるのではないかと思う。すでにOCWでは、IEEEで標準化されたLOM(Learning Objects Metadata)というメタデータを利用しているのだが、これを外部の人間も自由に活用できるようになれば面白いことになるかもしれないと期待している。

オープンコースウェアの国際会議

4月 23rd, 2006
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大学の講義資料をインターネット上に無料公開していこうというオープンコースウェア(OCW:Open CourseWare)。2001年にMITで始まったこのプロジェクトは世界各地に広まり、4月20日には京都大学で国際会議が開催された。国際会議の開催と同時に、日本OCW連絡会は、日本OCWコンソーシアム(JOCW)として再出発し、参加大学、公開コースも大幅に増やしたいという意気込みを見せる。

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J:COMのHDRがやって来た

4月 15th, 2006
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JCOM_HDR01_small.JPG私はJ:COMで地上デジタル、BSデジタル、CATVチャンネルを視聴しており、録画にはアイ・オー・データ機器のRec-POTを使っている。やっぱりハイビジョン放送はハイビジョンのまま録画したいので。ものすごいテレビ好きというわけでもないから、この環境でもまあ何とかなってはいるが、不満はけっこうある。まず、Rec-POTは単なるハードディスクであって、MPEGのエンコード/デコード機能を持っているわけではないということ。つまり、追っかけ再生ができないし、Rec-POTに録画している最中には別の番組を再生・視聴することもできない(以前発売されていた東芝Faceの一部機種と組み合わせれば可能)。録画スケジュールをチェックして、その隙間を縫って再生するという、妙に肩身の狭いテレビライフを送らなければいけないわけだ。そして、とにかく操作が複雑だ。番組の録画予約はセットトップボックス(STB)のEPGから手軽に行えるが、再生する場合はテレビとSTB、Rec-POTの電源を入れ、テレビの入力を切り替え、Rec-POTのメニューを呼び出す。必要な操作は学習リモコンにシンプルにまとめてある……といいたいところだが、これが家人にはすさまじく評判が悪い(私は便利だと思っているんだけど)。学習リモコンを使った録画予約と再生の方法を家人に説明していると、マジギレされそうになってしまった。まあ、その気持ちもわかる。あと、Rec-POTやSTBの動作も快適とはいいがたくて。こうやって書いてみると、本当にかなり不満点があるな。
だから、J:COMからハードディスク内蔵型のSTB(以下、HDR)が発表されるとすぐに申し込んだ。で、ようやくそのHDR(HUMAXのJC-5000)が本日設置されたというわけである。

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世界一スタイリッシュでクレージーなコンピュータ企業の30年

4月 14th, 2006
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アップル・コンフィデンシャル2.5J(上)―世界一スタイリッシュでクレージーなコンピュータ企業の30年私がMacにハマったのは2001年にiBookを買ってからだが、ここ数年だけを見ても、アップルを取り巻く状況の変化には驚かされる。Mac OS Xへの移行、iPodの大ヒット、インテルCPUへの移行等々……。
というわけで、『アップル・コンフィデンシャル2.5J』(上)(アスペクト刊、各巻税込2100円)である。Owen Linzmayer氏によるオリジナルの『Apple Confidential 2.0』は、アップルのインサイドストーリーの決定版として、米国でベストセラーとなった。ここには、アップルの創立と栄光、転落、そして復活までが見事に描かれている。2.5Jはただの翻訳ではなく、何と本文の1/3が、長年アップルについて取材してきたITジャーナリスト、林信行氏の新規書き起こしだ。オリジナルの2.0にはなかった、iPod・Mac OS X誕生の物語や、アップルの販売・流通戦略など、アップルの歴史書としてもビジネス書としても読み応えのある内容に仕上がっている。林氏による、他では読めない貴重なエピソード満載だ。個人的には、アップルの先端技術研究所(ATG)の研究についての章が気に入っている。いいものを作っているのにそれをいっこうに商品化できなかったのだ、以前のアップルは。そして、行き詰まっていたアップルがスティーブ・ジョブズの復帰と共に力を取り戻していく様子には、すばらしいカタルシスがある。
また、こういうビジネス書的な体裁の書籍としては珍しく、図版や年表、関係者の証言が豊富に盛り込まれていて、読んでいるとその時代の空気感が実によく伝わってくる。Macに興味がある人にとって、貴重な資料になるだろう。
ブックデザインを手がけたのは、装丁家の鈴木成一氏。Webページ上だとえらくシンプルに見えるのだが、実はMacにぴったりマッチするデザインになっていたりするのだ。これは実際に見てのお楽しみ。『アップル・コンフィデンシャル2.5J』(上)は4月27日、全国の書店で発売予定。

Volume Logicで音が「立つ」!

4月 14th, 2006
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VolumeLogic.jpgここのところ、BOSE「M3」の音に感動して、あれこれと曲を聞きまくっている。ただ、曲によってはM3でもイマイチ臨場感が出ないことがある。エンコードする際のビットレートを上げたり、コーデック(MP3をAACにするとか)を変えたりしても、「ちょっとよくなったような気がする」という程度でそれほど劇的な効果はないようだ。特に原盤の録音が古いものはどうしようもないかなと思っていた。しかし、こういうのを改善するプラグインってあったような気がして検索したら、すぐに見つかった。Octivの「Volume Logic」というiTunes用のプラグインだ(Windows版とMac OS X版がある。現在のところ、Intel Macには未対応)。そういや、以前にデモ版を試したことがあった。その時は、確かに音が厚くなるなあと感じたけど、購入には至らず。
改めてVolume Logicを導入してみると、その効果に驚いた。録音年が古い曲とか、何か音がはっきりしないと思っていた曲の音が「立つ」という感じ。放送局などで使われているデジタルリマスタリング技術を使っているそうだが、とにかく不思議。単純に音量が上がるのではなく、個々の楽器の音がくっきりとしてくる(いろいろ聞いてみると、曲によっては、Volume Logicをオフにしたほうが迫力が出ることもあるようだ。特に最近録音されたポップスなど)。
知らないうちに、音に関するハードウェアやソフトウェアがものすごいことになっているな。