10月 7th, 2007
私はInDesignで書籍や雑誌記事のラフレイアウトを作ることが多い。その際、デザイナーにわかりやすいよう、画像ファイル名を画像の上に貼り付けるようにしている。しかし、画像が多いとこの作業はけっこう面倒くさい。適当なプラグインがないか探したところ、KNOWBODYというメーカーの「Label It」という製品を見つけた。ファイル名だけでなく、解像度などの情報も表示できたりとなかなか高機能(ただし項目に日本語が含まれているとうまく動作しない)。しかし、1年間のライセンスで$50というのはちと痛い。
あらためてInDesignのフォルダを調べてみると「LabelGraphicMenu」というスクリプトが入っている!
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10月 2nd, 2007
私は立体写真やIMAX 3Dといった立体コンテンツが大好きなのだが、日本ではどうもこのあたりのジャンルは人気がない。しかし、MPEG(MPEGは映像の規格名であると同時に組織名でもある)では立体コンテンツのためのインフラを整えようという動きが着々と進んでいる模様だ。3Dコンソーシアムが開催した「技術部会および放送&実写WG共催勉強会」でのメモ。
MPEGのビデオに関する規格には「MPEG-C」がある。MPEG-C part3というのが「StereoScopicVideo Applications and Requirements」で、2Dのビデオ映像と奥行き情報(Photoshopのマスクなどと同じようにグレースケールで表現される)から立体動画を再生しようというもの。1枚の2D画像から立体画像を生成すると、手前の対象物と背景の間でズレができてしまうが(これをオクルージョン(occlusion)というようだ)、MPEG-C part3 v2では背景画像のレイヤーを別に用意することでこれをある程度解消しようとしているらしい。
多視点からの映像(例えば、左右の視点からの画像)を元にした立体映像を符号化する規格としては、MVC(Multi-view Video Coding)が2008年に標準化されるとのこと。MVCはMPEG-4 AVC(H.264)の拡張で、自由視点テレビや立体ディスプレイでの利用が想定されているようだ。MVC v1の入力信号は映像信号(例えば、左右の画像)だけだが、MVC v2ではMPEG-C part3で利用されているような奥行き情報も符号化できるようになる。
あと、立体コンテンツのためのファイルフォーマットとして、Stereoscopic MAF(Multimedia Application Fileformat)の策定が進められているらしい。これは、AVC/H.264やJPEGなど、既存技術を組み合わせて立体コンテンツをファイルベースで配信するためのもの。詳しいことはよくわからないが、例えば立体写真をStereoscopic MAFで保存しておけば、赤青のアナグリフや平行法/交差法の画像もビューア側で自由に生成できたりするかも?
このStereoscopic MAFは数社の韓国企業から提唱されているが、Stereoscopic MAFに限らず韓国は国を挙げて立体コンテンツに取り組んでいると聞く。テレビ放送のDMB、携帯電話などの分野でも立体コンテンツ配信のための技術開発/規格策定を積極的に進めているようである。最近では立体写真の撮影/閲覧ができる携帯電話なんてものも発売されたくらいだ。韓国ではオンラインゲームが日本よりもずっと盛り上がっているし、これが立体コンテンツを推進する背景になっているのかもしれない。
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9月 30th, 2007
今年の12月1日、新しいBSチャンネル「BS11」(日本BS放送株式会社)が放送を開始する(無料放送)。BS11のキャッチコピーは「大人テレビ」で、団塊世代が満足できる内容の濃いコンテンツを提供していくとのこと。独自に開発した「360°バーチャル映像システム」とやらを使って、斬新な生放送を行うらしい。このシステムがどういうものなのかはまだよくわからないが、複数台のカメラからの映像をなめらかに切り替えるということか?
さて、BS11では何と「立体放送」を1日15分程度流すという。放送の方式は、有沢製作所とNHKテクニカルサービスによるXpol方式。偏光メガネをかけて見る方式である。
驚くべきことに、この方式に対応したテレビはまだ発売されていないし、発売の予定もまだ立っていない! 日本BS放送株式会社の親会社であるビックカメラの一部店舗では、対応テレビを設置して立体放送を流すらしいが。同社はBS11の放送をきっかけに日本の3D関連市場が活性化することを期待しているということで、こういうチャレンジをする「漢」がいるというのは日本のテレビ業界もまだまだ捨てたものではない。私も立体写真好きとして、BS11の取り組みを応援したい。
ちなみに、通常のテレビでBS11の立体放送を受信すると、細長くなった画像が左右に並んで表示される。裸眼立体視できる人であれば、(比率は違ってしまうけれど)いちおう立体には見られるはず。大画面テレビの場合は相当画面から離れないといけないだろうけど。
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9月 30th, 2007
銀座に行く用があったので、ぶらりとアップルストア銀座を覗いてみたら新型のApple Wireless Keyboard(Bluetooth接続、日本語配列)が入荷していた。ここ数週間、いつ出荷されるか毎日チェックしていたところだったので迷わず購入。メインマシンとしてMacBookを使っているので外付けキーボードなどいらないようなものだが、処理によってはけっこうキーボードが熱くなって不快だし、もうちょっとリラックスした姿勢でキーボードを打ちたかったのだ。もちろん、デザインにグッと来たというのも大きな理由である。
最近のMac用純正キーボードは、MacBookと同じように平たいキートップ、浅いキーストロークが特徴だ。
私はPFUのHappy Hacking Keyboard Lite2を愛用していたこともあり、MacBookを使う前はなんじゃこれはと思ったものだ。しかし、しばらくMacBookを使っていると、キートップはぐらぐらすることもないし、浅いキーストロークもこれはこれで悪くない。そういうわけで、新型のApple Wireless Keyboardにもすぐになじめた。MacBookの配列とは一部異なるが(右下に右commandキーが追加されてenterがなくなった)、enterキーはなくてもまったく困らないし、commandキーが増えたのはうれしい。英語版だとcontrolキーが左下に移動しているが、日本語版だとちゃんと「A」の左横にある(Mac OS Xだと修飾キーは簡単に入れ替えられるけど、やはり最初からこうなっている方がいい)。
デザインはこれまで見たキーボードの中で一番美しいのではないかと思う。暑いときにはうちわ代わりに使えるほど薄いのに、まずまずの打ち心地を実現しているのはすごい。
また、F7、F8、F9キーでiTunesの巻き戻し、再生/一時停止、早送りが行えるようになり、けっこう重宝している。
さて、椅子をリクライニングしてだらしなくキーボードを使っていると、マウスに持ち替えるのが面倒くさくなる。Macは昔からキーボードショートカットが充実しているのだが、それでもキーボードからはできない操作がいくつかある。例えば、右クリックに相当するショートカットがない。WindowsならアプリケーションキーかShift+F10キーが使えるのだけど。iKeyでどうにかならないかとやってみたが、うまくいかないようだ。この辺はWindowsを見習ってほしいところ。
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9月 30th, 2007
Samsung電子から、地上波DMBと衛星DMBの受信機能を搭載した携帯電話「SCH-B710」が発売された(マイコミジャーナル)。マイコミの記事では両放送の受信機能ばかり強調されているのだが、この携帯電話は何と立体写真の撮影/閲覧機能が付いている。個人的には、どう考えてもこっちの機能がメインだろう!と思うのだが。
さて、某所でSCH-B710の実機を見る機会に恵まれた。ディスプレイにはレンチキュラー(画像に奥行きがあるように見せるプラスチックレンズ)が貼られていて、表示される立体写真は立体感がよく出ている。撮影用レンズ間の幅が非常に狭いので別の機材で撮影したものかとの質問も出たが、SCH-B710自体で撮影したものだという。撮影したデータに対して、何らかの強調処理を施すことで立体感がよく出るようになっているらしい。
実売価格は日本円で約6万円。安くはないが、地上波DMBと衛星DMBが受信できて立体写真撮影/閲覧ができるなら、リーズナブルではないかと。
日本では当然地上波DMBと衛星DMBは見られないが、ステレオカメラとしてもかなり魅力的。ただし、画像のフォーマットは独自なので、読み書きするためのソフトウェアが用意されないと実用的に使うのは難しそうだ。Samsung電子も別に独自フォーマットで囲いこもうとしているわけではなく、現在立体写真用の標準的なフォーマットが確立されていないのである。
実は、現在国際的には立体映像の規格化が進んでおり、韓国はかなり積極的に取り組んでいるようだ。このあたりの話は別のエントリで。
以前、日本でもシャープが「SH251iS」、「SH505i」という裸眼立体視対応3D液晶ディスプレイを搭載した携帯電話を発売していた(立体写真の撮影機能はない)。撮影機能は無理にしても、コンパクトな3Dビューアをどこかが出してくれないものか。
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9月 26th, 2007
iWork ’08に含まれる表計算ソフト「Numbers」は1つのシート内に、複数の表を自在に貼り付けられる。表作成の自由度が高くてこれはいい!と思ったのだが、早々と挫折。セルの内容を編集するためのキーボードショートカットが見つからないのだ。
Excelの場合、Windows版なら「F2」キー、Mac OS X版なら「control+U」キーで選択されているセルの内容を編集できる。このキーボードショートカットがないと、いちいちマウスに持ち替えて、セルをダブルクリックしないといけないからとてもわずらわしい(みんなそうやっているんだろうか?)。Mac OS Xは、メニューから呼び出せるコマンドに対して自由にキーボードショートカットを割り当てられるのだが、セルの編集機能はメニュー項目にないため、その技も使えない。
仕事で使うためのソフトは、こういう細部の工夫も欠かせないのではなかろうか。これさえ改善されれば、Numbersも常用しようかと思うんだけどなあ。
(追記:2007年9月30日)
インスペクタウィンドウを表示して、「表」(左から3つ目のアイコン)を選択。「表示オプション」の「Retunキーで次のセルに移動」のチェックを外すと、Returnキーでセルの編集ができるようになる(jimさんからの情報)。
(追記:2008年1月25日)
option+returnで、セル編集が可能(hiroshimoさんからの情報)。
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9月 14th, 2007
イノベーション・ジャパン2007-大学見本市の展示。室蘭工業大学 工学部 情報工学科 コンピュータ知能学講座 インタラクティブシステム研究室による、手書き図形の認識手法「FSCI」のデモ。
一般的な2D/3Dの作図ソフトウェア(ドローソフトやCADなど)では、コマンドやジェスチャーによって作図の指示を与える。Illustratorなら、長方形を描くときは長方形のコマンドを選んでからマウスをドラッグして位置やサイズを指定、自由曲線の場合はペンコマンドを選び曲線を描いていく。
FSCIでは、こうした操作が必要なく、ユーザーはひたすら図形を描き続けるだけ。円を描こうとしているのか、自由曲線を描こうとしているのか、ユーザーの意図をシステム側が読み取り、適切な図形として認識してくれる。この認識の仕組みが、FSCIのミソ。単純な例でいえば、くるっとすばやく円を描いたらそれは円として認識され、ゆっくり丁寧に描こうとしているなら自由曲線を描こうとしていると認識されるという具合だ。
FSCIを応用した3Dモデリングソフト「BlueGrottoFEP」のデモはなかなかインパクトがある。3次元ペンで空中に三角形を描いた後、掃引する経路を描くと三角柱が出来上がる。円を描いてそれを円周上に掃引するとドーナッツ形状ができるというように、コマンドの切り替えなしで立体形状を空中にどんどん描いていけるのだ。操作方法に習熟するために20分程度の時間がかかるそうだが、3DCGソフトShadeの図形の作り方にちょっと似ているようなのでこのソフトのユーザーならすぐになじめるかもしれない。ちなみに、BlueGrottoFEPはShadeやAutoCADのフロントエンドプロセッサとして動作し、描いた図形をすぐに3DCGソフトへ転送して加工を行える。
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9月 13th, 2007
イノベーション・ジャパン2007-大学見本市の展示。武蔵工業大学 知識工学部 情報科学科 視覚メディア研究室が出展していた「動画」広告。
バックライトに照らされた画像がスクロールしている。馬が走る様子が動画で表示されているので、新方式のディスプレイかと思ったら、静止画の印刷されたポスターをただスクロールさせているだけだという。
これはいってみれば、パラパラマンガをドット単位で1つの静止画に入れ込んでいるようなものなのだ。動画の各フレームを抽出し、それを高精細に印刷。特定のドット列だけを通すフィルターを前面に貼って、ポスターをスクロールさせれば動いて見えるという仕組みだ。原理的には単純で、ポスターやフィルターも一般的なプリンタで印刷できるとのこと。これを使った広告はすぐに実現できそうな感じ。近所の床屋さんや八百屋さんの店頭でも動画を使った広告が普通に使われるようになるかも。
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9月 13th, 2007
イノベーション・ジャパン2007-大学見本市の展示。京都大学大学院 人間・環境学研究科 酒井敏氏による「フラクタル日除け」。
ごちゃごちゃした怪しげな四面体が置かれているので、何かと尋ねてみると、これが日除けなのだという。日除けなら普通の屋根でよさそうなものだが、このフラクタル(シェルピンスキー四面体)は数学的には面積があるものの体積がゼロ。つまり、光は遮るが開放感があって風通しがよいということらしい。あとは、カラーリングを工夫してお洒落にすれば、引き合いも多そう。
純粋数学のアイデアが、工学的な発明に結びつくというのは実に興味深い。それにしても、本物の樹木による木陰が気持ちいいのは、フラクタルの特性が作用しているということか?
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9月 13th, 2007
イノベーション・ジャパン2007-大学見本市で見かけた、岐阜大学バーチャルシステム・ラボラトリー、木島研究室による「バーチャル解剖模型」。
マネキンが台に置かれていて、そこに内臓の3DCG映像が投影されている。これだけならどうということはないのだけど、スタッフに渡された「枠」を通して見てみると……。自分が上下に動くと、内臓が実際にマネキン内部にあるように立体表示されるのだ。マネキンを回転させれば、背中側の内部映像も見られる。
原理的にはシンプルで、要するに「マネキン」と「枠」の位置情報に応じた3DCG映像を生成してプロジェクターから投影しているわけだ。これならそれほど複雑なデバイスもなしで、インタラクティブな医学教材が作れる。うまい発想の転換だなあ。
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