世界最小の真空管アンプ
木曜日, 1月 12th, 2006International CESで展示されていたZVEXの「iMPAMP」。世界最小の真空管アンプだそうだ。うるさい会場だったので音質の方はちゃんと確認できなかったが、とにかくデザインがクール。
International CESで展示されていたZVEXの「iMPAMP」。世界最小の真空管アンプだそうだ。うるさい会場だったので音質の方はちゃんと確認できなかったが、とにかくデザインがクール。
International CESで展示されていたGameRunnerというフィットネスマシーン。ルームランナー型のUSBコントローラで、ほとんどのFPS(1人称視点のシューティングゲーム)に対応できるという。一日中ゲームできる人なら、相当心肺機能を高められそう。
International CESに出展されていたエンジン付きスケートボード「2006 Outback 49cc」。49ccの2ストロークエンジンを積んでいて、時速40kmくらい出る。スピードは手元のコントローラで調整、前輪を足で動かして向きを変える。2,3時間くらい練習すれば誰でも乗れると説明員は言うが……。
International CESの基調講演はどれも興味深いものではあったのだが、正直にいえばデジャビュと違和感を感じずにはいられなかった。さまざまなメディアですでに報じられているように、マイクロソフト、ソニー、インテル、Yahoo!、そしてGoogleのすべてが、コンテンツ配信戦略について言及したのである(あと、超有名人を呼んでトークショー仕立てにした点も似ていたな)。
ネットとテレビの融合とかいろいろな意見はあると思うが、ユーザー側からちょっと引いて見てみると、テレビのチャンネルが増えたにすぎないともいえる。
少し前まで、パソコンというのはユーザーがさまざまなモノを生み出せるツールとして宣伝されることが多かった。それが今一番のセールスポイントはテレビが見られるということである。
知的ツールとして発達してきたパソコンの、究極の目標がテレビというのは何とも皮肉な話ではないだろうか。受動的に送られてくる番組を見るだけというスタイルのテレビ文化(ネットがすべて能動的・知的なものというわけでもないけど)。テレビ事業者というより、テレビ文化がネットも含めた娯楽を飲み込もうとしているような気持ち悪さを感じる。年末の紅白歌合戦のせいで、テレビにネガティブな印象を持ったまま渡米してしまったから特にそう感じるのかなあ……。
扇風機やらクリーナーやら、USBポートに接続する実用的なんだかそうでないのかよくわからない製品が増えてきた。International CESで見つけた「CoolIT Chiller」もそんな商品の1つで、パソコン用の水冷システムを開発しているCoolIT Systemsが販売している。華氏45度、摂氏でだいたい7度くらいまで飲料を冷やせる冷却器だ。会場で触ってみると、さすが水冷システムを応用しているだけにかなりヒヤッとする。土産に買ってきたが、私の仕事場は冷却器などまったく必要ないほど寒いのでまだ試していない。
日本ではまったく話題になっていないが、マイクロソフトは米国でMSN Direct(SPOT)というサービスを行っている。MSN Directは、FMの周波数帯で文字情報を流し、それを専用端末で受信して利用するというもの。これまで腕時計型の端末が各社から発売されていたが、International CESでは置き時計型の製品も展示されていた(写真は、Complete Regional Weather Station with MSN Direct Weather Data Service)。まったく魅力を感じていなかったMSN Directだが(日本は携帯電話用のコンテンツが充実しているし)、置き時計で天気予報を表示しているのを見るとちょっとうらやましくなってきた。
20年以上前、マイコンユーザー垂涎の的となったマシンがあった。その名は「Zooty-1」。このマシンのことを知っているのは、30歳以上の元/現マニアなのではないかと思う。1984年版のパロディー版ASCII「AhSKI!」のロードテストに掲載されて大きな話題を呼んだ……かどうかはよくわからないが、少なくとも私の網膜には焼き付いた。ほんと、馬鹿かっこよかったのだ(褒め言葉)。意味ないギアシフト機能とか。
なぜこんなマシンを持ち出したかというと、International CESで展示されていたデルの試作マシン(XPS Mobile)が妙にZooty-1ぽかったから。2つ折りにして持ち運べる20型液晶付きパソコンなのだが、細かいギミックが何ともかっこいい(持ち運べるとはいっても重量は8.5kgもあるから室内での移動に限られるだろう)。キーボードと本体は磁石で合体するようになっていたり、スロット式光学ドライブからカシャっとディスクの出てくる様子が気持ちよかったりする。もちろん、かっこばっかでまったくダメダメのZooty-1とは異なり、このマシンはハイエンドな性能も備えている。
これだけデジタル技術が進歩しても、紙のメモ帳は手放せない。文字や図をさっと書ける利便性はどんなデジタルガジェットにも勝る。しかし、紙に書いたメモはあとから検索もできなくて何かと不便。そういうわけで、io Digital Writingのように手書きメモをデジタル化するソリューションがいくつか登場してきた。io Digital Writingでは専用用紙を使うAnoto技術が採用されているが、これとは異なる技術を使ったデジタルペンがイスラエルのEPOS Technologiesから発表された。
EPOSのコア技術は3Dポジショニングで、デジタルペンもこれを応用している。現在、2種類のモデルがあり、1つはリアルタイムタイプ、もう1つはUSBメモリ一体型タイプだ。
いずれのモデルもクリップ状のセンサーを紙に付ける。この紙は専用ではない、普通の紙。専用ペンを動かすと、センサーが位置情報を認識してパソコンに伝える。非常にシンプルな外見なのであまり細かいデータが取得できないのではないかと思ったら、精度は±20μm。高精細にデータを取得できるので、文字認識もさせやすいという。このリアルタイムタイプはコードレスマウスがわりに使うこともできる。USBメモリ一体型タイプも基本的な仕組みは同じ。違うのは位置情報がリアルタイムにパソコンに伝えられるのではなく、USBメモリに保存されていく点だけだ。要するに、紙にクリップを挟んで自由に書き込み、家に帰ってきてからそのクリップをパソコンのUSBポートに差し込めばメモをデジタル化できる。2MBあればA4で50ページ分くらいの情報を記録できるとのこと。ペンは専用だが、外見・重さは普通のボールペンとほとんど変わらず、100時間程度連続で使える。
EPOS社はこのデジタルペンをOEMで供給する予定で、ペンとセンサーのセットで$50程度を想定しているそうだ。実現できれば、かなりエポックメイキングな製品になりそう。日本でのパートナーもすでに決まっているらしい。リアルタイムタイプは今年の第二四半期、USBメモリ一体型タイプは第三四半期を予定しているそうだ。
EPOSの技術がユニークなのは、対象が紙には限らず、さまざまな用途に使えること。パソコンに内蔵すれば普通の液晶ディスプレイがタブレットのように使えるし、体にセンサーを付けてモーションキャプチャにも使える。
デモンストレーションをちょっと見せてもらっただけだが(高級ホテルのスイートルームで!)、かなり期待できそうではある。ただ、平らな机の上で書くにはよさそうだけど、立ったまま手帳を取り出して書くといった用途には向かないかも?
(2008年4月17日追記)
・EPOSのデジタルペンがついに登場
ラスベガスで開催中のInternational CESで展示されていたソニーの新型電子ブック端末「Sony Reader」。リブリエと同じ系列の製品だが、今のところと日本での発売予定はないという(後継モデルというわけでもない)。この端末は、リブリエとはDRMの方式が違っており、互換性がない(データフォーマットは同じBBeB)。リブリエがOpenMGを採用しているのに対し、Sony ReaderはMarllin DRMを採用。Marllin DRMは、ソニーのほか、フィリップスやサムソンなどが共同で開発した技術らしい。さらに、リブリエが「貸本」式なのに対し、Sony Reader用は期限に制限のないセル方式。
気のせいか、何かまたソニーが困ったことをやっちゃっているような……。今後日本のリブリエはどうなっていくのか。まあ、貸本方式のままでは絶対に電子ブックは普及しないと思うが。
第2回「テレビとネットの近未来カンファレンス」に参加してきた。今回のテーマは「CMスキップとビデオポッドキャストがもたらすTVへの影響?」。メタキャストのテレビブログによってCMが貴重な情報として活用できる可能性が示唆され、広告代理店によるCM視聴行動分析ではHDDレコーダーがCMを見ないことには必ずしもつながらないことが示されるなど、興味深い内容であった。
しかし、一番面白かったのは、ネット側の人間とテレビ側の人間の話がまるで噛み合っていないこと。元々はメディアの特性に起因するのだろうが、それぞれの業界人がユーザーをどう捉えているのかがよくわかる。
ネット側の人間は、魅力的なビデオキャスティング(Vodcasting)のコンテンツが続々と登場していることを挙げて、映像視聴のあり方が根本的に変わるかもしれないと興奮する。そして、CMを検索できるようにすれば、新しいニーズを掘り出せるという。
テレビ側の人間は、モノを次々に買わせることで経済がなりたっているという冷徹な現実を指摘する(友人によれば、ネット側の人間を意識的に挑発していたのだろうとのこと)。ネット側の地に足についていない様子をテレビ側がたしなめているようにも見えた。
両者が想定するユーザー像と規模がまったく違うのだな。最近読んだ『しのびよるネオ階級社会』(林 信吾、平凡社新書)や『下流社会』(三浦 展、光文社新書)といった階級分化論が思い浮かんできた。