Archive for the ‘book’ Category

民明書房とUnicode

火曜日, 10月 12th, 2004
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30代の男性なら、一度は民明書房発行の書籍を書店で探したことがあるのではないか。『魁!!男塾』の参考文献としてよく出てきたアレである(最近では、続編『暁!!男塾』がスーパージャンプ誌上で連載中)。最近、民明書房の書籍をまとめた『民明書房大全』が発行されたので、バカ中学生だった頃の思い出に浸ってみるのも楽しかろう。

民明書房大全には、見たこともない漢字がバンバン出てくる。例えば、私の大好きなネタ、李筴振(りばしぶる)が創始した凶獬面閶殺(きょうかいめんしょうさつ)。ネタの内容については同書を見てもらうとして、「獬」(かい)も「閶」(しょう)もJISコード(JIS X 0208)の第一水準、第二水準に含まれていない。ただし、Unicodeには収録されているので、Windows XPやMac OS Xなら問題なく扱えるし、このブログのようにUTF-8で書かれたWebページでも使える。男塾のファンサイトを運営するなら、UTF-8ベースじゃないときついかもしれない。
それにしても、民明書房大全の校正は大変だったんじゃないかな。やっぱり、DTPにはInDesignを使ったんだろうか。

便利になった国会図書館

月曜日, 10月 11th, 2004
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仕事で必要な資料を探すため、久しぶりに国立国会図書館へ行った。以前に訪れたのは10年以上も前になるか。閉架式(閲覧にも申し込みが必要)の図書館であるため、閲覧のたびに申請書を書き、資料をコピーするためにも申請書を書き(自分でコピーすることはできない)、と大変に不便だった記憶がある。
今回は15年分の雑誌を調べる必要があり、恐ろしく時間がかかりそうだと身構えていたのだが、かなり便利になっていてちょっと驚いた。

(さらに…)

PCJapan復活号には、幻の7月号が付く!

木曜日, 10月 7th, 2004
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pcjapan0411_01_small.jpg大人の事情で休刊していたPCJapanSBPストア)が10月13日売りの11月号から復活する。11月号には、CD-ROM×2枚(厳選ツールとKNOPPIX)、別冊×2冊と付録がてんこ盛り。
pcjapan0411_02_small.jpg別冊のうち1冊は幻となった7月号のダイジェスト版とのこと(もう1冊はグラフィックチップのデータブック)。確かに、7月号は完成直前だったわけだし、そのまま埋もれちゃうのはもったいない。
11月号の特集は、全50ページの「記録型DVD究極バイブル」。2層DVDメディアを活用するテクニックも満載しているそうだ。

ソフトウェア産業の危機は、日本全体の問題を象徴している

日曜日, 10月 3rd, 2004
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コンピュータにあまり興味がない人は、日本のソフトウェア産業が危機にあると聞いてもピンと来ないかもしれない。ゲームソフトなんかもをあんなに輸出しているじゃないかと。
ところが、日本のソフトウェア輸出額は輸入額の1%という何ともお寒い状況なのだ。さすがに偉いさんもやばいと思いはじめ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が国内のソフト開発力を強化するためにソフトウェア・エンジニアリング・センターを設立することとなった。

ソフトウェアの危機的状況については、前川徹氏の『ソフトウェア最前線―日本の情報サービス産業界に革新をもたらす7つの真実』に詳しい。この本では、なぜ日本のソフトウェア産業の競争力がこんなに低いのかを的確に分析している。
まず、日本で使われているプロジェクトの手法である、ウォータフォール・モデルの弊害。ようするに、要求→設計→開発→テスト→保守と、十分なフィードバックを受けないまま次の工程に進み、後戻りができない。そのため、仕様変更があるとおそろしくコストが跳ね上がってしまう。ソフト自体の信頼性も落ちる。
これはソフトウェアの開発プロセスを変えればいいという問題ではなく、優秀なプログラマが報われない賃金体系(残業してダラダラ仕事したほうが儲かってしまう!)や、下請けに丸投げする企業体質、顧客側の理解不足(ソフトウェアは機械部品とは違うということ)等々の要因が絡み合っているわけだ。ソフトウェア開発に携わっている人だけでなく、システムを発注する立場になった人は、問題点を理解するためにもこの本を読んでおいた方がいい。

(さらに…)

すごいループの付いたGarageBand本が出る!

土曜日, 10月 2nd, 2004
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garaband01.png今時のMacにはすごい音楽ソフトがタダで付いてくる。音楽素材(ループ)を並べるだけで手軽に曲を作れるGarageBandだ(付属しない旧モデルでもiLife ’04 のパッケージを買えばOK)。自分の演奏を取り込んでエフェクトをかけたりと、音楽好きならかなり「遊べる」ソフトだ。
実は、ここしばらくGarageBandの本を作っていた。手前味噌だが、この『GarageBand デスクトップ・セッション』はちょっとすごい。付録CD-ROMにはミュージシャンのU10G氏によるオリジナルループを222種類収録。これが実に「使える」ループなのだ。

もちろんGarageBandには最初からかっこいいループ(AppleLoops)が1000種類も付属している。さらに、別売りのGarageBand Jam Packにも多数のループが収録されている。
これらのループはどれもかっこいい。しかし、それぞれがすでにコード進行を持っているから、自分でコード進行を作りたい時など、汎用的な使い方に向いていないのだ。

『GarageBand デスクトップ・セッション』のループは、6ジャンル(グラムロック、ファンク、ディスコ、オールディーズロック、ブリティッシュロック、80年代ロック)。それぞれについて、ベースやドラム、ギター、オルガンなど、パートごとにループが用意されている。そして、それぞれのパートについて複数のコードがある。
つまり、「うーんとここのところの進行は、C→Am→Dm→Gにすっかなー」といった試行錯誤が簡単にできるわけだ。作曲やバンド練習の支援ツールとしてもかなり役立つはず。
それぞれのコードは、ジャンルごとに「それっぽい」演奏になっているから、組み合わせ次第で「おおっ、もしかしてこの曲は!」なんてどこかで聞いた曲も再現できるかも? 作曲や楽器演奏が苦手でも、当分遊べると思う。

『GarageBand デスクトップ・セッション』は10月下旬発売予定。乞うご期待。

(追記)
本書オリジナルループは、iLife ’05のGarageBand2でも使えます!

『ヒドゥン』の補足情報

日曜日, 9月 19th, 2004
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ヒドゥン ENTERTAINMENT COLLECTION SILVER前に紹介した『ヒドゥン』の補足情報。DVDで改めて見て、やっぱり面白かったと再確認。
『ヒドゥン』の続編として『ヒドゥン2』があるのだが、こちらはびっくりするほどつまらない映画なので(監督も違う)、よほどの好事家以外にはオススメできない(ロケ地、2ヶ所?)。前作のダイジェスト紹介があんなに長い続編ものを初めて見た。

小学生の頃に読んだSF小説で夢中になった奴があったのだが、それは『ヒドゥン』の元ネタ『20億の針』を子供向けにした『星から来た探偵』だったらしい。『20億の針』自体は、ストーリーはよいものの、どうも翻訳がビミョーという評価が多いようだ(続編として『一千億の針』がある。ともに未読)。
そのほか『20億の針』を元ネタとした小説としては、大原まり子の『エイリアン刑事』(1-上)(1-下)(2)がけっこう面白かった記憶がある。

人間に似すぎたロボットを、人間は受け入れられるだろうか

日曜日, 9月 19th, 2004
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「不気味ですか?「人間そっくり」」(9月18日の朝日新聞夕刊科学面より)
ロボットは見かけが人間に近付くほど不気味になるという記事。1970年代に発表された森政弘・東工大名誉教授の論文では、人間は、おもちゃの人型ロボットよりも人間に似たロボットを気味悪く感じるが、それを通り越した人間と見分けが付かないロボットなら気味悪さは感じようがないとしている。
記事の中で、大阪大の石黒浩教授は、

人が、無意識のうちに人間と思ってしまうようなレベルのロボットをつくるのが目標。そこまですれば、社会に受け入れられるでしょう

と語っている。
うーん、そうかなあ。今でも人間は世界中で、肌の色の違いどころではなく、外見的にほとんど同じ種族でも何らかの差異を探し出して差別しようとしている。大多数の人間が親和感を持てるロボットの開発ってありえるのかな。日本人に受け入れられるロボットは、別の国の人につまはじきにされたりして。
記事では、こうした研究に対して論評はせず、

人間は、見かけがよりリアルなものに対して、「違和」への感受性が敏感になる、という特性を持っている可能性がありそうだ。

とまとめている。

こういう記事を読むと、アイザック・アシモフの「ロボットもの」(最初の作品は何と1940年!)がいかに鋭い洞察力に富んだ作品であったか、今さらながら驚かされる(というか、現実の科学者が彼の著作に影響を受けてきたという面も大きい。先述の森政弘氏もアシモフの作品を読んでいたのではないかな)。
われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集『われはロボット』(公開中の映画『アイ,ロボット』の原案)や『ロボットの時代』では、まだロボットのほとんどは完全な人型ではないが、人間とロボットが共存する社会が築かれつつあった。しかし、その後数百年を経た『鋼鉄都市』『はだかの太陽』(これらの作品はミステリ)の時代では、人間に似すぎたロボットは人間に反感を持たれ、地球上からは姿を消す。その後、「銀河帝国もの」へ向かう中でロボットは歴史の裏側に身を潜めていく……(『ファウンデーションの彼方へ』(上)(下)でロボットものと銀河帝国ものがつながってくる)
はじめて『鋼鉄都市』を読んだ小学生の時には、人間側のあまりに過剰な「反」ロボット意識にとまどったが、その後これはかなりリアルな近未来描写、そして人間批評ではないかと思うようになった。
アシモフのロボットもの、銀河帝国もの、そしてファウンデーションものは、読まずに死ぬと人生を3割は損したことになるので、早めに読んでおいた方がいい。
そうそう、ロボットものの集大成『コンプリート・ロボット』がいつの間にかソニーマガジンズからひっそりと(私が気付かなかっただけですが)発売されていた。『われはロボット』『ロボットの時代』の作品はすべてこれにも含まれている。アンドリューNDR114日本では創元SF文庫の『聖者の行進』にしか収録されていなかった「バイセンテニアル・マン」(映画『アンドリューNDR114』原案)や単行本未収録作品も含まれており、これからロボットものをまとめて読むならこれがオススメだ。

PCJapanが10月発売号より復刊

木曜日, 8月 5th, 2004
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ソフトバンクBB恐喝未遂事件のとばっちりを受けて休刊していたPCJapanが10月13日発売号より復刊する。誌名もそのまま「PCJapan」とのこと。編集方針にも大きな変更はなさそうだ。まずはめでたい。
編集部も、支援の書き込みをしてくださった方々に感謝しておりました。

英英辞典が面白い

月曜日, 7月 12th, 2004
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学生時代、英語教師に「わからない単語は英英辞典で調べろ」てなことをいわれたもの。しかし、根気のない私はすぐにいやになってしまった。
『辞書という本を「読む」技術』には、

英英辞典は訳語を知るために引くものではありませんし、引いてもわからないような単語を調べるために使うものでもないのです。

そうだよなあ。筆者の木村哲也氏は、英単語そのものの意味を知る英語で説明するコツを習得するために英英辞典を使うのだという。なおかつ、英語がネイティブでない学習者を対象とした英英辞典を選ぶべきとしている。これらの辞書では説明に使う単語を2000語程度に制限しているから、高校生でも十分に理解できるはず。
例として挙げられている単語の意味を読むと、日本語訳語との微妙なズレが実によくわかる。「house」や「toe」とか。
興味を引かれたので同書で推奨されている辞書のうち、電子辞書版があってなおかつ辞書ソフト「Jamming」で使える『COLLINS COBUILD Resource Pack on CD-ROM』を購入。『Longman Dictionary of Contemporary English, New Edition Paperback with CD-ROM for Windows (4th)』(LDCE)でもいいかなと思ったが、紙の方はどうせ使わないだろうと思って、COBUILDにした(COBUILDには紙の辞書+CD-ROMの製品もある)。Jammingでは、COBUILDやLDCEを直接扱えるが、項目の連続表示やPalmで使うことも考えて、公開されているEB Studio用スクリプトEPWINGに変換して使っている。紙の辞書だとCOBUILDやLDCEレベルでも(私は)長続きしないだろうと思うが、電子辞書なら串刺し検索機能がある。何かの調べ物のついでに見られるからあまり気張らなくても使えそう。参照項目を次々追っていけるし、意外と遊び感覚で「読めて」いい感じだ。

英英辞典といえば、Maximilk氏が、パブリックドメインとなっている『Webster’s Revised Unabridged Dictionary (1913-ed.)』(ウェブスターズ英英辞典1913年版)のEPWING版を公開された。「computer」を引いてみると、ただOne who computes.(計算する人)とだけ書かれている。時代を感じるなあ。

PCJapan突如休刊

火曜日, 6月 1st, 2004
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ソフトバンクBB恐喝未遂事件の容疑者が執筆していたということを理由に、「PCJapan」が突如休刊することになった(Broadband WatchCNET Japan)。6月13日の7月号も発売されない模様。現時点では、ソフトバンク パブリッシングのWebサイトから編集部の公式ページも削除されているようだ。PCJapanがなかったことになっている!
私も付録の用語事典を編集していたりするから他人事ではないのだけど、編集部には本当に同情する。容疑者が執筆していたからといって、雑誌を休刊すればいいってことなのか?顧客データベースのパスワードが漏れたのはソフトバンクBBの管理体制の問題だろう。PCJapanはアオリ文句は派手だけど、そんなにアングラというわけでもないのでは。しかも、何の経緯説明もなしに、編集部の公式ページまで削除してしまうというのは、(読者に対する説明責任も含めて)ちょっと異常な対応ではないかと思う。

しかし、こうやって有無をいわさず休刊することで、PCJapanに対する同情を集めて有利にこと(復刊して部数アップとか)を進めようとか考えていたりするならば、孫正義氏はやはりタダ者ではないかもしれない(ちなみに、孫正義氏はソフトバンク株式会社およびソフトバンクBB株式会社の代表取締役社長。ソフトバンク パブリッシング株式会社の代表取締役社長は岡崎眞氏)。
(追記:↑やっぱ、んなわきゃないよな……)