Web2.0を裏側から見た『クラウド化する世界』
10月 19th, 2008『クラウド化する世界』は、『ITにお金を使うのは、もうおやめなさい』の著者ニコラス・G・カー氏による、コンピューティングに関する中長期的な予測。
かつて、企業は個別に発電装置を所有していたが、全国的規模の電力会社の登場でそうしたモデルは崩れた。本書の前半において、ITも同じ運命を辿っているということを、電力会社との対比でビビッドに描き出す。ITに詳しくない人にとって、これほどわかりやすいクラウドコンピューティングの解説はないかも。
後半は、ネット上の情報を付き合わせることで、プライバシーがいとも簡単に浸食されることなど、「クラウド化した世界」のマイナス面を指摘。
生産手段は大衆の手に渡しておきながら、その共同作業の産物に対する所有権を大衆に与えないことで、ワールドワイドコンピュータは多くの人々の労働の経済的な価値を獲得して、それを少数の人々の手に集約するための極めて効率的なメカニズムを提供しているのである。(p.171)
コンピュータシステムは一般的に、そしてインターネットは特に多大な力を個人に与えるが、その個人をコントロールしている企業、国家、その他の機関にはもっと大きな力を与えているのである。(p.228)
うわあ、辛辣だ……。しかし、かなりの説得力があるのも事実。梅田望夫氏の『ウェブ進化論』を始めとする楽観論と合わせて読んでおきたい。
10月 21st, 2008 at 02:52
大衆が体臭になっていますよ。
10月 21st, 2008 at 07:49
し、失礼しました! ご指摘ありがとうございます。