超漢字原稿プロセッサの使い勝手はどんなものか

4月 21st, 2004
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パーソナルメディアから、原稿執筆用ソフト「超漢字原稿プロセッサ」が発売される。これはBTRON仕様OSの超漢字4上で動作するアプリケーション。超漢字の17万字を利用して豊かな文字表現力を実現する多漢字環境、原文のレイアウトを保持したまま文章の修正履歴を表示できる「赤ペン詳細モード」などの特長があり、編集者・ライターとしてはかなり気になる存在ではある。


ただ、実際のところ、実用度はどんなものなのだろう。ソフト自体の使い勝手は触ってみないとわからないが、ネックになりそうなのは、これが超漢字上で動作するということ。編集者も執筆者も超漢字の環境を整えていないといけないわけで、これからまったく違ったOS環境を導入するのはなかなか厳しそうだ。また、最終的に出版物にする過程ではDTPソフトに流し込むことになるので、修正前のレイアウトを変えずに修正箇所を明示できるため、推敲や校正作業を効率的に行えるのが、どの程度メリットになるのか判断が難しい。
プレスリリースには合計17万字が利用可能な「超漢字4」の多漢字機能を利用することにより、漢字の不足という問題を抜本的に解決していますと書かれているが、JIS X 0208ならばともかく、最新のUnicodeで文字が足らないという状況は、研究者や戸籍を扱う人でなければまずないと思う(逆に、こういう人にとってはこれ以上はない環境になるだろう)。
さらに、MYCOM PC WEBの記事では、

作成した原稿はXML形式で出力可能で、超漢字原稿プロセッサ以外のソフトで利用することもできる。読み込み先でその環境にないフォントは正しく表示できないが、超漢字で認識できるコード情報がタグとして出力されるので、文字の情報をファイルに残すことができる。

と書かれている。複数のプラットフォーム間でデータを移しながら作業しなければならないわけで、実務ではかなり煩雑なワークフローになりそうな気がする。
フォント・トレーサビリティシステムの時にも思ったが、TRON側はデファクトスタンダードになっているシステム(この場合WindowsやMac)と密接に連携できるよう、もっと工夫が必要ではないだろうか。外字に関しても、4月8日にアドビ システムズ新しい外字アーキテクチャ「SING」を発表している。SINGには大手フォントメーカーも参加しているし、こちらがデファクトスタンダードになりそうな気配。
幸いなことに、マイクロソフトからMicrosoft Virtual PCが発売される。推定小売価格15,800円というのは私が予想していたよりもかなり安価で、これを機に一般ユーザーにもマルチOS環境が普及するかもしれない。マイクロソフトやDTPメーカーと協力することで、TRONのよさを活かしつつ、他の環境と共存する道を見つけられるのではないだろうか。

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