電子辞書道楽(その2)
6月 27th, 2003(前回から)
注文していた電子辞書(小学館のランダムハウス英語辞典)が届かなかったので、類語辞典について。
類語辞典は、言葉を意味的に分類し、近い意味にあるもの同士をまとめたものだ。角川類語新辞典では、「天文」「表情」「要求」といった100の項目に言葉を分類している。ちょっと言い回しを変えたい時とか、キャッチコピーなんかを付ける時にとても重宝している。私は以前、紙の類語国語辞典(角川類語新辞典のコンパクト版(かな?))を使っていた。意味分類で言葉が並べられているから、他の言葉との差異がわかりやすく、自分の言葉の世界を広げていける。また、同じ言葉が複数の項目に分類される場合もあるが(例えば「波」は物理的な波動のほか、情勢を表す時にも使われる)、類語国語辞典では個々の説明文中にも飛び先がきちんと付けられているから使いやすい。
ただし、どの類語辞典にも共通する欠点だと思うが、言葉を引く時、どうしても二度手間になる。一般的な国語辞典なら読みで引けば一発で言葉の意味がわかるが、類語辞典は読みを索引で調べ、説明のあるページに飛ぶという手順を踏む必要がある(分類項目表から言葉を調べる方法もあるが、こちらはあまり使われないだろう)。
ところが、電子類語辞典なら読みを入力すれば一発で説明文に飛べる!普通の国語辞典と同じ感覚で使えるのだ。角川類語新辞典の電子版は発売がかなり古く、今では取り扱っているところは少ないが、使ってみる価値はあると思う(3万円もしたが……)。もっとも、初期に出た電子辞典だけあって、こなれていないところもある。例えば、説明文の中に別の項目への飛び先があっても、これをクリックして飛ぶことができなかったりするのが、残念なところではある(検索ソフトの機能でカバーはできるけど)。
研究社の類義語使い分け辞典も入れているが、これはどちらかというと読み物だ。「ころ」「折り」「際」「節」の違いって説明できますか?
紙の辞典では、講談社の類語大辞典も持っている。こちらの分類方針は、角川類語新辞典とまったく異なり、和語の用言を基準にしている。言葉を分類するために、こういう方法もあるというのは驚きだ(前書きにある、辞書作成の苦労話が興味深い)。用例が豊富だし、慣用句も見出しになっている。分類の仕方に癖があるが、文章を書く時、実用的だと感じた。ただし、先述した言葉を引く時の二度手間、サイズと重さ、(角川類語新辞典にはあった)複数項目に分類されている言葉間のリンクがない、といった理由で使用頻度は今のところそれほど高くない。CD-ROM版が出たらすぐにでも買うのだけど。(続く)
6月 27th, 2003 at 22:11
こんばんわ、ykaiseです。
いつかコメントをつけてやろうと虎視眈々と狙ってたんですが、このblogって、理系オンチな小生にはちょっとレベルが高すぎて、手も足も出ませんでした。
が、今回は辞書ということで、一つコメントを。
最近は、CD-ROM辞書や電子辞書の普及が加速しているとともに、果てはgooみたいなネット上の辞書まであって、そのうち紙の辞書なんてなくなりそうな勢いです。(これらの総称を便宜上「デジタル辞書」とよばせてください)
たしかに、辞書(あるいは図鑑など)を「データベース」としてとらえると、デジタル化はものすご?く便利です。最近の電子辞書なんて、ひらがな一文字を入れたくらいで、あ行の言葉がずらずらっと出てくるわけですから。
Tats_yさんが今回書かれている類語辞典についても、遅かれ早かれもっと引きやすいものって出てくるんでしょうなあ。ユーザーが求めている言葉のニュアンスを読み取ってくれるみたいなのが。
でも、Tats_yさんにお聞きしたいんですけど、辞書を「読んだ」ことってありますか? 言葉を引くのではなく、普通の本みたいに読むということなんですけど(たぶんありますよね)。
たとえば、ある言葉を(紙の)辞書で引くときって、必然的にその前後に記載されている目当て以外の言葉の説明を読んでしまうことってありませんか?(そのおかげでボキャブラリが増えたりとか)
あるいは、図鑑である魚を調べようとめくっているうちに、本当はマダイを調べたかったのに、ふと目にとまったカレイの仲間たちのさまざまな形態をじっくりながめてしまったりとか。
まあ、これって、本来の「調べる」という目的から外れた無駄な行為というか情報のノイズをつまみ食いしてるだけなんですけど、かえってこちらの方が面白かったり、あるいは酒場での話題なんかで役に立つことってあるじゃないですか。
こういう醍醐味(?)って、デジタル辞書にはないんですよねえ。
てなわけで、紙の辞書の無駄な部分が好きな小生としては、しばらくデジタル辞書には手は出ませんな。
……なんて昔の読書人みたいなことをいいつつも、シャープのカラー液晶の電子辞書なんて、むちゃくちゃほしかったりして(笑)。
なんか支離滅裂で、すいませんね。
あ、それから小生、Tats_yさんと同業なのに、これまで自分で類語辞典を買ったことがありません、ちょっと恥ずかしいです、というのも付け加えておきます。
6月 27th, 2003 at 22:24
コメントどうもです。「辞書を読む」ということはまったく同感です。それが辞書の醍醐味ですもんね。
で、そういうことが電子辞書でできるかということですが、現段階でもけっこうできるようになっていると思いますよ。携帯タイプの電子辞書では難しいでしょうけど、PC用の辞書ソフト(本文でも取り上げたJammingなど)は、目的の用語の前後にある項目の説明文もずらりと表示できたりするんですよ(紙の辞書と同じように)。ま、さすがにパラパラめくるのは紙の方が便利でしょうけど。
また、電子辞書ならではとして、ハイパーリンクをクリックしていけますし、本文中の用語を選択してそれに対してさらに検索をかけることも簡単にできるので、電子辞書ならではの「辞書の読み方」っていうのもあるのかなと思ってます。
7月 5th, 2003 at 17:48
シソーラス
松岡正剛の千夜千冊『角川類語新辞典』大野晋・浜西正人 本書の語彙分類構造は十進分類になっていて、まず大項目が「自然・性状・変動・行動・心情・人物・性向・社会・学芸・物??…
3月 6th, 2004 at 22:47
速度は「高い」か「速い」か?
知り合いから「速度は高いというべきなのか、速いというべきなのか。こういうことをパッと調べられる電子辞典はないかな」と聞かれた。 「高速」という言葉があるから、私としては??…