アップル「株で賞与」制度は普及するか
10月 17th, 2015
「アップル「株で賞与」全従業員に拡大 人材つなぎ留め」というニュースが話題を呼んでいる。ストックオプション(株式購入権)の制度がある企業は多いけど、アップルの新制度は一定期間を超えて勤務したすべての社員が対象になる点が大きく異なる。
この制度は、世界的にかなりのスピードで広まる気がする。
以前に私が手がけた、小飼弾氏と神永正博氏の対談本『未来予測を嗤え!』でも、このテーマを取り上げた。
山路:「つまり、GoogleやAppleに支配されているから対抗しようと考えるのではなく、彼らの株をどんどん買って、影響力を行使すればいいということですか?」
小飼:「そういうことです。インフラに依存しているという意味でプラットフォーム企業に支配されていたとしても、その支配者のオーナーであればいいんです。企業による支配力にせよ、経済的な格差にせよ、結局のところ、問題の根源はオーナーシップが極端に偏っていることにあります。だからオーナーシップをばらけさせるようにしなければなりません。」
(中略)
山路「オーナーシップが重要だといっても、それを今持っていない人はどうやって手に入れればいいんでしょう? 牛丼屋のバイトが社長に直訴したところで、ストックオプションをもらえるわけではありませんよね。」
小飼「そこでやっと政府の出番ですよ。例えば、給与に応じてストックオプションも配らなければならないという法律を作ればいい。それだけで問題の大部分は解決できてしまう。」
(『未来予測を嗤え!』第9講 超巨大企業を所有してしまえばいい)
『未来予測を嗤え!』では、従業員に株式を分配するには法律が必要だろうというスタンスだったけど、アメリカの先端産業ではもうそれどころではない人材獲得競争になっているというのが興味深い。
会社が役に立たない従業員の福祉まで丸抱えする日本の終身雇用はもう維持できなくなっているけど、会社の競争力と従業員のモティベーションを両立できる「株で賞与」制度は1つの解になるかも。