小さな「ル」の思い出

9月 27th, 2014
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最近、疲れた時にはぼんやり『世界の文字と記号の大図鑑 ー Unicode 6.0の全グリフ』を眺めたりする。現在のほとんどのコンピュータは文字コードの体系としてUnicodeを利用しているが、そこに含まれる約10万文字を書籍化したもの……という興味がない人にとってはなんじゃこりゃという代物だ。
「片仮名拡張」の領域を見ていると、アイヌ語仮名があった。アイヌ語をできるだけ正確に表記するために、「ㇰ」(小さな「ク」)とか、「ト゚」(「ト」に半濁点「゜」)といった仮名が使われるのだ。かなり早い段階から(今調べたら2002年のUnicode3.2から)Unicodeにアイヌ語仮名が含まれていることは知っていたのだが、懐かしかったのは「ㇽ」(小さい「ル」)。

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Windows3.1が発売される前、某社でCD-ROM電子事典制作のバイトをやったことがあるのだけど、作業の1つに「ㇽ」を削除するというものがあった。その当時はまだUnicodeも検討段階で、日本語の文字コードとしてはShiftJISが一般的。「ㇽ」は外字でないと表現できず、(細かい経緯はよく知らないけど)結局取ってしまおうということになったらしい。「ボッティチェㇽリ」とあったら「ボッティチェリ」と直すわけだ。来る日も来る日も、元の事典のコピーから「ㇽ」を探して、赤字を入れる日々……。
Unicodeの辞典を眺めて、ちょっとノスタルジーな気分になった(あんまりそういう奴はいないw)。

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