デジタルアーカイブが世界観を変えていく『データを紡いで社会につなぐ』
11月 14th, 2013首都大学東京の渡邉英徳准教授から、新著『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方』(講談社現代新書)をいただきました。
昨今、ビッグデータをビジネスや研究に利用しようという動きが進んでいます。渡邉先生が取り組んでいる「デジタルアーカイブ」というのは、膨大なデータをITによって誰にでもわかりやすい形にして表現すること。例えば、代表作である「ヒロシマ・アーカイブ」は、被災者の体験談や写真などの資料をGoogle Earthにマッピングした作品です。空中の火球や全焼地域と、体験談が重ね合わさることで、「その時」に何が起こったのかを疑似体験することができます。テキストだけでも映像だけでも実現できない、まったく新しい表現手法です。
東日本大震災におけるIT活用について取材した拙著『Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット(林信行氏との共著)では、渡邉先生の「マスメディア・カバレッジ・マップ」を取り上げさせていただきました。これは、NHKニュース報道の書き起こしデータからTV報道された場所/されなかった場所を抽出し地図上にマッピングするというもの。Twitterのツイートと重ね合わせることで、「報道の空白域」が可視化されました。
データがわかりやすく可視化されることで、専門家でない人も世界のとらえ方が変わってくる。そんな興奮が味わえる好著です。
デジタル教科書をめぐる議論が盛んになってきていますが、こういう人の世界観を変えうるコンテンツがもっと教育現場にも導入されてほしいですね。